2016年11月30日水曜日

北陸新幹線延伸ルート。

とっても久しぶりにブログ更新。
最近話題になっている?北陸新幹線延伸プロジェクト。
ちょっと気になるニュースが出ていました。(こういうお仕事もやってます)



○ニュース
http://news.yahoo.co.jp/pickup/6222645

国交省の試算に対して、なんとしても舞鶴ルートに持ち込みたい京都側の、反論する内容ですね。
一昨年舞鶴訪れた時には確かに侘びのある風景だなぁと感じざるを得ないこともあり、個人的には日本海側はもっと元気になって欲しいこともあるのだけど、今回の試算はちょっと自分達が得意な観光を活用しすぎなのでは、と感じてしまいます。
だって
小浜ルート 1.1→1.5
舞鶴ルート 0.7→1.6  (しかも対象としたやつは0.6)


一般に、鉄道の費用便益(社会にとって良いこと)は、利用者便益(移動時間が短縮、移動費用の削減など)、供給者便益(収益改善)、△環境改善(自動車→鉄道によるCO2削減など)で計算されるんですが、
これに伴う企業の立地の増加(アクセス性の向上によるお引っ越し)や、観光客の増加に伴う効果、労働生産性の向上、といったいや、きっとあるでしょうよ!というものは、正しくそれを計算する手立てと根拠が薄いことから日本では計算の値に入れていません(日本はわからないものは基本省くスタイル)。
※こういう新しい指標もガンガン入れて行こうぜ!というのがイギリスやニュージーランド。

それと、一般的には今移動している人だけが移動する、というスキームなので移動は常に取り合い。どこかが増えればどこかがその分奪われて減ります、というのが基本スタンス。。なので、今まで旅行はせずに家にいたけど、新幹線できたし旅行とか行ってみるか!とか、新幹線出来たから日本海側にも顧客探すか!という効果は計算されません。

ということもあって、こうしたほんとは効果あるでしょうよ!というのを全面に計算したのが今回のニュースなんでしょう。

今回は恐らく、
・新幹線開業に伴う観光目的の人数に対して、観光消費者単価をむりくりかけて観光消費を追加
・土地利用交通モデルを使って企業立地がどう変わるか

で計算しているのではないかと(報告書読まないとわからないけど)。

国交省の結果をみていると舞鶴ルートは
・輸送密度低い(要するにお客があまり乗らない)も所要時間も長い→利用者便益が出にくい B↓
・距離が長くて建設コスト高い→費用が高いのでC↑
∴ B/C低い
という結果。結果だけ見てると至極真っ当な気がします。

ただ、これではいかん、ということで特に観光の移動に着目して小浜ルートで数字が出ない観光目的に着目して、観光消費を載せているのでしょう。

国交省の結果では、南周りの方がB/Cが小さいのに、今回の京都の試算だと、南周りの方がB/Cが大きいというのも、恐らく奈良を通すことで、奈良~京都の観光移動量が元々大きいというデータを上手く計算結果に取り込むことを狙っているのかと思います。
このルートであれば、今奈良から京都移動する人が新幹線使って移動する可能性があるので、その分の利用者がみんな観光するとして、結果便益があがるという試算なのかなぁと。

企業も、製造品出荷額とかが小浜よりも多いことに着目して、勝負しているんでしょうね。

現在の便益分析は確かに欠けていることも多いし、波及的な効果を全部載せられないとか、そもそもデータがめっちゃ古いとか(今の移動の基本データはH22のもの。新幹線が出来るころには20年後なので、未来がその時の移動をベースに作っていいのかというのは大きな疑問だけど、それに代わるデータがまだないのです)諸々あるんだけど、反論材料としてはちょっと弱いしつらいのかなぁと思います。
恐らく、この試算値をベースに舞鶴ルートになるなら、京都府はJR西日本に補償費払わないといけなくなるのではないのでしょうか。 ただ、仮に小浜ルートになるなら、小浜~舞鶴で特急通してあげるとか、そういうのあった方が良い気はしますけど。

○国交省の結果
http://www.mlit.go.jp/common/001152043.pdf

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