2011年11月16日水曜日

アンダルシア旅行その②:Sevilla


バスに揺られること4時間。次なる場所はアンダルシアの州都セビーリャ。セビーリャの理髪師などで有名なかの地である。
アラブ支配下時代の街並み構成に、ヨーロッパ式の4,5階建の建物を新たに建てたらしく、入り組んでいる上に外が見えない、でもちょっと魅力的な路地が連なっている。
おかげでホステルにつくまでに随分迷うはめになった。
世界の度肝を抜くような大聖堂を、というコンセプトで作られた大聖堂はあいにくミサで全部は覗くことができなかったが、彩色は地味ながら、天井の彫刻と壮大な空間が割と見事な場所であった。この時はまた午後も来るだろうと思い十分程度讃美歌に耳を傾けつつ後にしてしまい、結局戻ってくることはなかった。もう少し見ておけばよかったかな…残念。

なるほど、州都ともなると小さいながらもトラムが走っているらしい。ボルドーと同じく電線を完全に地中化している模様。
 大聖堂を挟んで向かい側にはアルカサルというアラブ時代の城塞跡が残っている。
かつては城塞だったらしいが、クラックデシュバリエ(シリア)のような、今でも砦の趣を残すというよりは、綺麗な中庭と庭の集合体という感じであった。アラブを旅した身としてはどことなく懐かしい空間達




 中庭にオレンジが植えられているのは地中海に来たことのあかしだろうか。

再び街中に足を踏み入れ、素敵な幕の下をぐるぐる通って行くと、最近できたというキノコのお化けに出会うことになる。



 部屋が同じだったこともあり、この日一緒観光していたカナダ人の友達はweird!と言いながらも写真を取りまくっておりなかなか気に入っている様子。自分は突然幕間から飛び出してきたこの奇妙な物体(オブジェ)を上手く受け入れられないままぼんやり眺めているだけだった。


そんなセビーリャで最も感動したのが少し南部に下った離れにあるスペイン広場。
写真うつりは悪いが(曇っていたし)、これが広場か!とまるでサンピエトロ広場のような広大な空間。かといって、あそこまで大きすぎてという感じもせず、すごい落ち着いた感じ。半円を取り囲む建物もシックだけどすごい丁寧でカッコ良い。

 細かいベンチや壁などもすごいきちんと作られていて、広場と建物の間の小さな運河?も見事に決まっていた。




 夜になっても州都は賑やかで、ライトアップされた路地には人が溢れ、バルに行けば皆でサッカーを見ながらビールを飲むと言う様。
ビールを飲んで、買い物をし、フラメンコを見て宿に戻る。
 丸一日で十分見終わるだろうと思っていたのだが、予想に反して見ごたえが多すぎて、結局路地探検も十分にできないままセビーリャを離れることになってしまった。

路地は諦めても、ここまで来たのにカラトリャーバの橋は諦められない!と思いコルドバ行きの電車に乗る前に橋を目指して歩く。15分と言われていたのに15分経っても見えやしない。
 ようやく橋が見えたころにはすでに30分は歩いていた。
近くで見るとものすごい質量感なのだが、嫌悪感はない。さらには、上に挙げたコンクリートアーチと下流から見ると非常にバランスが良いのだ。すごい遠くから見ていると日が出ていないせいもあって、どっちが手前にあるのかわからないほど。(上流にかかってるのに同じスケール感でみえるってことなので、近くに行くとそれだけでかいってことなんだけど)
丁度橋脚部分が木で隠されて見えないようになっているので一番重苦しく感じさせるであろう部分も見えないようになっていた。



 本当はすぐ真下まで行きたかったのだけど、電車の時間に間に合わなかったので100mくらいまで近づいて引き返す。
 朝焼けの静かな街を練って次なる場所コルドバに向かうのだった。

2011年11月12日土曜日

オルセーの本気

長きにわたったオルセー美術館の工事が終了した。

リニューアルしたオルセーに足を運んだ。祝日だったこともあって混んではいたが、行く価値はある。

オルセー美術館の本気の凄さをまざまざと見せつけられた。

今回の改装でこれまで使えなかった2階右翼部分と5階部分(左翼のみ)が全面解放されて、それまで窮屈な廊下に抑え込まれていた印象派達は5階部分を全て使えるようになった。

新しい印象派のコーナーは壁を濃い紫/黒に近い色に塗り直し、天井部を開けて自然光を取り入れるようになった。これにより、光がよく入るようになり、かつカラフルな印象派の絵が壁との対比で非常に映えるようになった気がする。(2004年に訪れた時はまだ白壁で、印象派の面積も少なかった)

肝心の作品については、疑いようのないクオリティ。

小さな小部屋が連続して6,7個続いているのだが、各部屋にこんな有名な作品が惜しげもなく並べられてるよ…と一つ目の部屋だけで日本なら特別展が開けるような世界が広がっていた。

ドガのバレエ作品を連続で並べてみたり、海辺をモチーフにした作品をぽーんと並べたり。
そもそもマネの名作群をほいほい飾ってみたりとまぁ力を持つものだからできるやりたい放題っぷり。

そうかと思うと壁を一つ使って1,2作品だけを使うという大胆な飾り方をやってのける。
ルノワールのワルツは壁に2枚だけかけられた大胆な構図。しかも次の部屋に行くための仕切りとしておいてあるのでかなり視点が集まる構図になっている。(オルセーは写真禁止なのでぜひ足を運んでください)

キュレーターもここまでできたら楽しいのだろう。カードなんて幾らでもあるんだものね…。逆に日本のキュレーターの苦労は計り知れないのだろうけど。授業でのぽろっと喋る愚痴を聞いていると、三浦先生も作品集めるの本当に大変そうだったみたいだし。

そもそも会場構成(一筆書きで見ようとすると毎回ぐるぐる小部屋回らないといけない)と作品量的に、全ての作品を細かく見てくださいというものではなくて、あなたの気に入った絵を適当に見ながらどんどん進んじゃってください。ちょっと見逃しても良い作品は沢山あるからいいですよ、という作り。好きな時に来て何回も見てくださいという意図が感じられる。

5階の展示だけで正直お腹いっぱいになるクオリティ。あぁ、本気を出したらこんなのできるのね、と以前マネ展で見せつけられた圧倒的力をここでも見せつけられる。

以前は沢山あったマネのツミワラや太鼓橋がないのはどっかに貸し出されてるからかもしれないけど、とりあえず工事前には無かった作品、7年前や4年前に来た時には見たことなかった作品も結構あった。そういえば、シスレーやピサロの作品も減ったような気がしないでもない

ちなみにここまで歩いてまだゴッホやセザンヌ、後期印象派は出てきやしない。

ゴッホはひとつ2階の左翼部分にゴッホのコーナーがおいてあるのだが、ここもまたおしげのない作品の飾り方なうえ、オーヴェールの教会と壁、光の当て方がなんとも見事。オーヴェールの教会の教会とは思えないあの重々しさがいっそう強調される構図になっている。
きっと担当したキュレーターもドヤ顔してるに違いない。
少し部屋が狭いのが残念なところ。人も集まるのでもっと奥行きがあればすごいよかった気がするのだが…

今回のオルセーの改装では各部屋ごとに光量を随分調整しているようで、ゴッホの部屋は天井光を取り入れて明るいのに対し、スーラなどの部屋では採光はせず、少し暗めの中スポットライトを当てて映えさせるという展示の仕方だった。

さらに、新しくジャポニズムのコーナーができていて、そこでは以前国立博物館で特別展をやっていた浮世絵と陶磁器の作品がずらり。一時ヨーロッパにて浮世絵を陶器の模様にすることがはやったらしく、北斎の鳥獣戯画などがかなりモチーフになって皿として展示されているというもの。これ以外にジャポニズムをオルセーで体験できるのはマネの「ゾラの自画像」の背景くらいなので、ちょっと面白い。

既存部分は相変わらずアカデミズムやオリエンタリズムなどの作品が飾られていて、上に比べると大分人も少なくのんびりみれる空間になっていた。5階から回って行くとこのころにはお腹いっぱいになっているので軽くさーっとみて終わってしまうのでまた次回に…

とまぁ、工事期のオルセーは随分窮屈で人も絵も可哀想な感じになっていたけど、全面解放して本気を出したオルセーはかつて僕が行って大好きになった7年前のオルセーよりももっと素敵で意欲的な空間になっていた。

マネやモネは1870年以前と以降で展示階が違っていたりしてちょっと気付きにくいのだ(つかモネの部屋は見逃した…)とか、2階の左翼部分はなんかいまいちぱっとしないだの不満はあるけど、まぁそこは目をつむるとして、個人的には駅としてのオルセーとのあり方、アールヌーヴォーとの見せ方(今はしょぼいモデルルーム見せてるだけみたいになってる)、アカデミズムのアンチテーゼとして生まれた印象派、というのがもっと見えたらもっと面白いんだけどな、とアカデミズム派を三浦先生に教わり、こっちでパリの歴史について学んだ今だと感じるところなのだけれど。

とはいえ、学生は5.5ユーロでこの世界を体験できるというのははやり非常にありがたい。
新しくなったオルセー美術館、パリに来る際は是非とも足を運んでみてください

2011年11月6日日曜日

Parlon d'art①

先学期から続けてParlon d'artというフランス語の授業を選択している(今学期はもぐり)。
一応フランス語の授業なのだけど、フランス語を使って、絵画を説明するテクニックを身につける、というのが授業のテーマ。

先学期は19世紀絵画に見るオースマン時代がテーマ。専門に近かったこともあって、オルセー美術館で絵と歴史を随分と学ばせてもらった。

今学期は科学・技術をテーマにポンピドゥーで授業が行われている。

自分はポンピドゥーの所謂”モダンアート”はちょっとあまり理解ができず敬遠していたところがあったのだけど、今回の授業を受けて目からウロコで、一気にキュビズムに対する認識が変わった。
様々な視点を一つの絵に盛り込む、くらいの認識しかなかったし、それがどうしたの?という疑問が払拭できなかったので、正直見てもよくわからず、不思議な絵だなぁ…と思って終わることがほとんどだった。
自分の中でそれがあまりに見事に、なるほどなんて面白い作品なんだと思わさせてくれた先生の解説をここでうまくトレースすることを試みようと思っている。

今回扱った絵は以下の二つ。
BraqueとPicassoのギタリストの絵である。


2つとも、一見するだけではよくわからない。特に下のピカソの絵は以前ポンピドゥーで見た時はわっかんねぇなぁ。と思ってすぐ踵を返した記憶がある。

実際、まずは見て自分で考える、というのが授業のスタイルなのでとりあえず今回はここでストップ(笑)
既にキュビズムのことを良く知ってて素の楽しみ方を知ってる人は多分読んでも、なんだよ今さらかよクダラネーとなるんだろうけどまぁとりあえず先生の見事な解説とそしてそのパッションを上手く伝えられるように頑張ってみます



2011年11月2日水曜日

アンダルシア旅行その①:Faro

1週間のバカンスを使ってアンダルシア地方を回ってきた。
ポルトガルのファロを起点とし、セビリア、コルドバ、グラナダ、フエンヒローラ、ミハスと回ってマラガから帰国。

忘れないうちに。去年のスペイン旅行はいつかいつかと思ってそのまま忘れてしまった(笑)

ヨーロッパそのnカ国目。ポルトガル。
前日夜に飛行機がとんでくれなかったせいで、半日遅れでファロにつく。
空港の一部が見事にぶっ壊れていたせいもあって市内行きのバス停が見つからず(看板ないうえ人によってバス停の場所が変わるからタチが悪い)、空港から脱出するまでに30分以上さまよってた。

そんなこんだでファロ滞在時間は僅か2時間あまり。
 なんと国立自然公園(湿原)にすぐ隣接しているという不思議な街。写真左手は海のように見えて湿原らしく、海岸線は10キロほどさらに進まないといけないらしい。リゾートビーチもそっちにあるそうな。
小さなしきり壁があってそのすぐ横を線路が走る。なんだか可愛らしい。
顔出して覗いていたら電車がきたので慌てて首を引っ込める。
伝統のすぐ横をのんびり抜けていく電車。
この距離感、日本じゃ出せないよなぁ。電柱と人と線路と海の密接度合い。


 小さな城壁都市になっていて、中は2~3階建てのちょっとカラフルor白塗りの建物が詰まっている。旧市街は本当に小さくて、外周は歩いて20分かからないんじゃないだろうか。
もともとバカンス地なのだが今はオフシーズン、そのうえポルトガル内でも相当南で主要都市からも離れていることもあって静かな街だった。
もう2時間くらいあればバスで海岸まで行って帰ってこれたんだけどな。

お昼をのんびり食べて、その日のうちに次なる目的地セビーリャへ。
バスで4時間ゆられていく。
交通費は16ユーロ。ヨーロッパのバスが主要交通な地域のバス料金の安さは一体何なんだろう。人件費の安さだけでここまで行くとは思えないし、そこまで補助金が入っているのだろうか。