2012年12月28日金曜日

農家日誌⑥ 野菜の売られ方2

※これは僕が北軽井沢の有機農園でバイトをした経験と本で得た知識を元に書いていますのでサンプルはn=1なので実態が普遍的なわけではないですよ。あしからず。

「けれどもね、契約農家も完全な契約ではないんですよ。どうしてか、わかります?」

それは、農家というのが根源的にリスクの塊だから、であった。

当然ながら野菜の成長の如何は大きく天候に左右される。向上のように必ず一定数ができるわけではない。前年はとうもろこし畑がクマに荒らされてしまい一本も収穫できなかったそうだ。

そうなった場合、完全なる契約にしてしまうと規定数の出荷が出来ない場合に違約金を取られることになってしまう。大きな収穫がない場合も勿論問題だが小さな変動はいくらでもあるし、必ずしも狙ったように野菜は大きくなってくれるとは限らない。

そうなると、どうしても緩い契約をしておかないとリスクを背負い切れないのだそうだ。

結果、どうなるかというと、契約相手も必ずしも契約を完全には守らない。豊作でJAの市場価格が安くなると契約は破棄されて農家のそれは買ってもらえないのだそうだ。それも、有機農園だから多少のプレミアがついていてこの現状である。普通の農薬を使った農家であればそもそも契約農業それ自体も厳しいのかも、しれない(ここは良く知らない)。

ここが、現代農業の非常に大きな弱点だと思うが、どうあっても基本的に最終生産者が大きなリスクを全て抱えないといけない。それでもJAは税を取るし、運搬料金も変わらない。小売も仕入れ値に%で上乗せしていくのだから、基本的に利益構造はできている。しかし農家は豊作になれば値が崩れ、凶作になれば収益も減る。そういった帳尻合わせは全て農家が行っている。若者を農家に!とは言っても根源的にリスクを背負い弱者である農家にそこまでなりたい人が続出するであろうか。

ちなみに、JAは市場価格に左右される一方、いくらでも出荷出来ると言ったが、JAのメリットはもう1つあって、それは入金が非常に早いこと。納めて10日くらい以内には入金されるらしい。基本的に農家は収穫ができるまでは収入がない。最初の数カ月はずっと借用金、ツケでなんとかしないといけない。当然早く金を返さないと利息が付いてくる。こうした中、契約農家よりも圧倒的に早く入金してくれるJAはある意味ありがたいらしい。とはいえ、JAも地方によって全然強さが違っていて、強いJAのところでJA以外にも出荷しているのがわかると露骨に嫌がらせされる、とかはあるそうだ。


野菜の売られ方、もう一回だけ続けます。最後は収穫で気づく売られ方。




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