2011年1月8日土曜日

アラブ学のススメ1

アラブ学って言ってもサイードとかそんな話ではまったくない。だってまだサイード読んだことないんだもん...。てわけでこれはあくまで実体験に基づくアラブってこんな国よーって言う簡単な紹介。

モロッコのスーク
さっきふとカウントしたらこれまでにモロッコに18日間、今回のレバノンシリアで12日間となんと一カ月もアラブで旅行をしていたことに気付いた。今まで結構海外旅行してたけど、その中でも割と大きな日数を占めている。割と派手に移動しながら旅行していたので、一カ国に18日も旅行で行っていたのは実はモロッコが最初である。通算旅行日数ならフランスだが、一回の旅行は2週間が最大だった。
うん、あれ?これって結構レアなんじゃない?


レバノンに沢山あるカーテンの家。
ヨーロッパ旅行する人なんて腐るほどいるけど、モロッコ三週間近く回ったり、アラブに観光で1カ月いたって、ドバイやエジプトにホームステイしていた既得なアラビア大好きっ子のOちゃんくらいしかしらない。

よく考えてみたら大学で専門の土木、都市以外の授業で数年にわたって授業を取っていたのも美術史とイスラム学なのだ。2年間、イラン地域研究の桜井先生のゼミを取っていたものとしても、なんとかこりゃアラブの魅力をつたえないかんと無駄な使命感に燃えた。

日本人にとっては恐らく物理的距離以上に遠いイメージのアラブだが、ごくごく純粋に魅力的な地である。アラビア語が読めなくたって楽しめるもんだよ。

アラブ式中庭



@イスラム、アラブの誤解。

地球の歩き方”ヨルダンレバノンシリア”に結構いいことが書かれているのだけど、日本ってのは多分にアメリカ寄りの情報が多いようで、アラブ、イスラムに対してどうしてもテロとかなんだか物騒な国だとか変なのを結びつける傾向があるのは否めないように思う。
そんな自分もその一人。イスラムのことは興味があって勉強していたが、それでも治安に対しての疑問は払拭できなかった。実際に自分が卒業旅行の場所を選ぶ時、モロッコかヨルダンレバノンシリアかで迷ったすえ、ベイルートはテロで危ないしなぁ、レバノンってなんか怖いなぁというイメージがあってモロッコに落ち着いたりしたのだ。まぁ、モロッコもアラブなんだけど。

中東(勿論モロッコも)は現実的には非常に平和だった。治安も非常にいいと思う。少なくても、常に他人は信頼しきらず、街中で油断したら即財布をすられるようなパリやイタリアに比べれば気楽に街中を歩ける場所である。フランスの夜は物騒だが、ここはそこまでの恐怖は感じない。
みんなの”憧れのパリ”の方が随分と物騒なのである。友達も何人もすられた。

マラケシュのフナ広場。昼はのどか。夜は熱気にまみれる

@アラブ人という魅力

そんなアラブの魅力の一つはやっぱり人だろう。

良くも悪くもアラブの人は『他人の敷居に平気でずかずか入ってくる』

東洋史の大稔先生が昔仰っていたのは、彼らは他人に対しても遠慮はしない。だから、君たちもいちいち遠慮なんかしなくていいから!と言っていた。

モロッコ初日。カサブランカ空港から即マラケシュに向けて3時間の電車の中、同じボックスシートに座ったおじいちゃんが、とちゅうから自分の読んでる新聞の余白欄を使って、僕ら3人に2時間近くアラビア語を教えてくれた。
時折、お前の宗教は何か?とか色々とするどい質問をしてくるおじいちゃんだったが、実に親切な人だった。

モロッコに数日いたのち、ヨーロッパ旅行に慣れていた自分としては街中で全く知らない人にいきなり声を掛けられてもついつい警戒してしまう癖がついていたのだが、その時あった彼は、至極純粋に僕らがどこから来たのかを質問し、そしてモロッコにようこそ、と素敵な笑顔で迎えてくれた。


時として彼らの親切はそれは非常にうっとうしいものになるが、一方では日本、西洋では考えられないくらいホスピタリティに溢れている。

想像がつくだろうか?
自分の国を観光していて、ごく知らない人達と目が合うだけでどこから来たの?○○から?
ようこそ!よく来たね!と笑顔で一日10回も言われることを。
商売人が媚を売るために話しかけてくるものではない。純粋に街を歩いている人達である。彼らはそれ以上何も求めない。にっこり笑って去っていく。

シリアではそれがごくごく当たり前のように起きていた。
4000年の歴史を持つダマスクスでは、あるおじいちゃんに
ここは世界で最も古い街の一つだ。ようこそダマスクスへ!と言われた。
それはもうカッコいいおじいちゃんだった。


何も知らないアカの他人から、これほどまで熱烈に歓迎されたことはアラブ諸国意外では一度もない。
他の国だって勿論親切な人は沢山いる。が、ここはそれをはるかに上回る。
たまたま路線バスで近くにいたからというだけで、自分の行き先とは違うのに、アラビア語が読めない僕らをタクシーの運ちゃんに騙されないように、地元の人が使う長距離バスターミナルのチケット売り場まで案内してくれた若いあんちゃんもいた。

あげくの果てには乗り合いタクシーで一緒になった軍人にまでよく来た!シリアは君等を歓迎するぜなんてことまで言われてしまう。

なんて良い人柄の国なのだろう、と感動すらしてしまう。

そんな暖かい場所なのだ。日本でいう古き良き田舎のおばさんやおばあちゃんがそのまま存在しているような場所がアラブなのだ。都会人として僕らが何か失ってしまったものを彼らは未だに持ち続けている。それをどう受け取るかはこちら次第なのだけど。

勿論、それは時折鬱陶しさに変わる(笑)
例えば、それは商売人になった時。スークのことは別に書くが、アラブのスークで買い物をする際に1分以内で買い物が終わることはまずあり得ない。
交渉に交渉を重ね、値段の折り合いをつける。そのプロセスを経ないとまともな買い物はとてもじゃないが出来ない。
夜のフナ広場。12時になっても熱気は消えない

長距離バスターミナルに行くと、信じられないくらいの人に取り囲まれる。そこから交渉して一番安いところを選ばないといけない。躊躇しているとそのまま品を買わされてしまう。
疲れていて、人と接したくない時は日本は非常に便利だ。コンビニでジュースの値段交渉なんて考えられないし、切符を買う時にうちの会社!うちの会社だ!みたいな引っ張りだこになることなんて想像できない。ていうかそんなのいやだw
けれどアラブはそれが許されない。 どんなに疲れていてもそこは交渉しないといけない。

良くも悪くも他人の敷居に平気で入り込んでくるから。


モロッコはヨーロッパからの観光客が随分と多いみたいだが、シリアはより純粋で素敵な人達が多かったように思える。レバノンは車移動がメインで一般の人とはあまり関わらなかったのでわからなかったが、僕等を案内してくれた友達は4日間つきっきりで僕等を案内してくれた。朝飯から夜寝る間際まで。

胸に手を当てて、シュクラム(ありがとう)と言ってくれる彼等のありがとうには他人でも人を全面的に信用してくれているような気がする、とても重い”ありがとう”に感じられた。

逆に言えば、その信頼を裏切るようなことをしたら。。。という恐怖も感じてしまうのだが、それを裏切らない限りにおいてはアラブの人というのは非常に暖かく魅力的な人達なのだ。
 

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