内藤さんが喋るのを聞いて、牧野富太郎がとても高名な植物学者、というのは聞いていた。
wikiによると「日本の植物学の父」といわれ、多数の新種を発見し命名も行った近代植物分類学の権威である。その研究成果は50万点もの標本や観察記録、そして『牧野日本植物図鑑』に代表される多数の著作として残っている。小学校中退でありながら理学博士の学位も得て、生まれた日は「植物学の日」に制定された
であるらしい。
その後も、特に牧野富太郎のことは意識していなかったのだが、先日、ほんのふとした折に自分のスマフォのマーケット(アプリおとす奴)で日本語のソフトが使えるのではないかという発想に至った。考えてみれば日本でもギャラクシーは展開しているみたいだし当たり前なんだろうけど、フランスで携帯を買ったというのもあって、何故かそういう発想は全く生まれなかった。
携帯でおとすアプリは時間つぶし用の下らんゲームとかだったのだが、家計簿のソフトを落としながら、kindleみたいに青空文庫の本、読めるんじゃない?と思って検索したら見事にヒット。
かくして、青空文庫リーダーをゲットしたのである。
ちょうどおとしたアプリはランクトップ500のデータがそのまま保存されているというもの。
あ、そういえば牧野富太郎…とかあるのかなと検索したら引っ掛かったのが
”植物一日一題”という本だった。
どうやら、真面目な植物の本ではなく、植物の命名の解説を軸としたエッセイ風の本であるようだった。
一つの植物ごとに話が変わるので非常に読みやすいし、なによりこの人の書く文章が非常に面白い。
文章の言い回しも面白いし、毒吐きがすごいのだ。
まだ、1割程度しか読んでいないのだが、思わずRERに乗りながら笑ってしまったのが次の文章。
狐ノ屁玉
キャベツ、すなわちタマナを甘藍
いったい甘藍とはどんな蔬菜かといってみると、それは球にならない、すなわち拡がった葉ばかりの Brassica oleracea L. で、その中の var. acephala DC.(無頭すなわち無球の意)がこれにあたる。すなわち前々から葉牡丹
右のキャベツすなわちタマナは Brassica oleracea L. の中のものではあるが、これは葉が層々と密に相包んで大きな球になる品で、学名でいえば Brassica oleracea L. var. capitata L.(この capitata は頭状の意)である。
キャベツはキャベージ(Cabbage)の転化した言葉である。この Cabbage とは大頭の意であって、これは熱帯椰子類の数種の新梢芽が頭状に塊まっているので、本来はそれを Cabbage といったものだ。そしてこの嫩芽
以上のようなイキサツであるから、このタマナ、すなわちキャベツを甘藍とするのは見当違いであることをよく知っていなければならない。古い学者、技師連 などは古い書物に書いてある間違いの影響を受けてその誤りを引き継ぎ、今日でもなお甘藍をキャベツ、すなわちタマナと思っているのはまことにオメデタイ知 識の持主であって、憐れ至極な古頭の人々である。総体物は正しくいわなければいかん。知識の奥底を見透かされるのはいっこうにゴ名誉ではござんすまい。
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